毛根部の一番下のふくらんだ部分は「毛球(もうきゅう)」といい、この毛球の中には毛を作る大切な役割を持つ毛乳頭と毛母細胞が詰まっています。
毛乳頭は毛細血管から栄養を取り込んで毛を成長させる働きがあります。網の目のように張り巡らされている周囲の毛細血管を通じ、毛を発生させるために必要な栄養分や酵素を受け取ります。そして今度はその栄養や酵素を基に毛母細胞へ信号を送り、細胞分裂をさせます。
毛乳頭から髪の毛造りの指示命令を受けた毛母細胞は24時間常に細胞分裂という活動を繰り返し、そして分裂した細胞が角化していく事によって毛になります。そして角化した細胞が毛として毛穴から皮膚の外に生えてくるのです。
このように毛母部分は毛髪の発生や成長を司っているため、毛母細胞がある限り、いくら抜いても毛は次々と生えてくると考えられています。
これまで、毛母細胞(毛根)部分が破壊されることで医療レーザー脱毛の効果があげられるとされていました。しかし、近年の研究で毛母細胞に栄養を与えている発毛因子「バルジ領域」を破壊することも重要であるということがわかりました。
バルジ領域とは脱毛症治療の研究の一環として2000年~2001年に発見された幹細胞(細胞を作る働きをする細胞)の一種で、毛の生成に重要な細胞を作り出す働きをします。
バルジ領域から作り出される発毛因子が毛母細胞となり、毛乳頭からの栄養を受け取ることで毛が生成されているのです。
従来の医療レーザー脱毛は毛母細胞を破壊することを目的としていたためバルジ領域も同時に破壊していました。しかし、近年ではバルジ領域だけを破壊する脱毛機も登場しました。
毛母細胞を破壊する医療レーザー脱毛は黒い毛を通して毛乳頭を熱破壊していました。成長期の毛が毛乳頭と繋がっているため、黒い毛があれば毛乳頭の熱破壊が可能だったのです。
しかし、バルジ領域は毛と繋がっておらず、常に真皮に存在しています。つまり、バルジ領域を破壊するのに毛があるか、ないかは理論上関係ありません。
ただ、現在使用されているバルジ領域を狙った脱毛機も、黒いメラニン色素に反応し、熱を加えるという仕組みは変わっていません。そのためバルジ領域を破壊する方法であっても、脱毛は毛の生え代わりのサイクルに合わせて行います。